脂質異常症
脂質異常症
生活の現状
最近は高脂血症という言葉に代わって脂質異常症という呼び方になってきたのをご存知でしたか?
高脂血症という言葉がなくなったわけではありませんが、脂質異常症の中に高脂血症と低脂血症が含まれます。
脂質異常症の原因は言うまでもなく、日常の生活習慣にあるということです。しかしそれだけではなく、他の内科的な疾患が原因となっていることもあるようです。
専門家に聞くと、高脂血症の原因は大きく分けると以下の3つあるということです。
1.生活習慣
・食事(エネルギーの摂取)と運動(エネルギーの消費)のバランスが崩れている。
食べてばかりで運動しない。 (by Illust AC)
・食事の内容の偏り、寝る前に大量に食べる。ストレス、アルコールの取りすぎ。
2.他の病気や使っている薬の影響…《続発性》
病気:糖尿病、甲状腺機能低下症、腎臓病などによっておこる。
薬 :ステロイドホルモン剤、性ホルモン製剤などによっておこる。
3.体質(遺伝的な要因)…《原発性》
家族や親族に高脂血症の人がいると自分も高脂血症になる
可能性は大きいと言われます。
そのほか、加齢によってもリスクが高まってきます。
男性は50才代くらいから、女性は閉経後に男性よりも
リスクが高くなる、ということが統計的に分かっています。
高脂血症と関係の深い病気
高脂血症と密接な病気には、どんな病気があるでしょうか?
調べてみると、糖尿病、急性膵炎、脂肪肝、痛風などと関係が深いことが分かりました。
それらの一つ一つを取り上げ、高脂血症との関係を見てみましょう。
糖尿病
膵臓が作り出すインスリンというホルモンはブドウ糖を細胞に送り込んだり、肝臓で中性脂肪の合成を促したりしています。
そのインスリンが不足したり、働きが鈍くなったりすると、血糖値が上がり、代謝機能に異常をきたします。その結果が糖尿病です。
また、インスリンの作用が不足すると、インスリンの分泌量が増えて行き、肝臓での脂肪生成を促進します。その結果、血液中の中性脂肪が増加し、高脂血症となります。
中性脂肪の分解が進まなければ善玉コレステロール(HDL)の量が減少し、コレステロールの回収率が悪くなります。その結果、動脈硬化が進行していきます。
(by IllustAC)
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急性膵炎
急性膵炎とはどんな病気か
膵臓は、蛋白分解酵素をはじめとして、食べ物を消化・分解するいろいろな酵素を産生し、分泌しています。
急性膵炎は、いろいろな原因で活性化された膵酵素によって自分の膵臓が消化されてしまい、膵臓やその他の主要な臓器に炎症と障害が引き起こされる病気です。
原因は何か
急性膵炎の原因として最も多いのはアルコール(37%)で、次に胆石(たんせき)(24%)と原因不明の特発性(23%)が続きます。
また、血液中の中性脂肪が高い脂質異常症、内視鏡的膵胆管造影(ERCP)や手術後、
あるいは特殊な薬剤によって引き起こされることもあります。
症状の現れ方
急性膵炎で最も多い症状は上腹部痛です。
痛みの場所はみぞおちから左上腹部で、しばしば背部にも広がります。
痛みの程度は軽い鈍痛から、じっとしていられないほどの激痛までさまざまです。
そのほかの症状としては、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、発熱などがあります。
何日かかけて徐々に出てくることもあれば、何の前触れもなく突然痛みが起こることもありますが、
食事後、とくに油分の多い食事をしたあとや、アルコールを多く飲んだあとに起こることも少なくありません。
痛みは、膝を曲げて腹ばいになると和らぐことがあります。
また、知らないうちに痛みがなくなってしまう場合もあります。
また、次第に症状が悪化して、意識障害やショック状態(蒼白、血圧低下など)を起こすこともあります(重症化)。
腹部所見としては、疼痛のみられる場所を中心として、押されると痛みが強く(圧痛)、また押されておなかが硬くなること(筋性防御)もあります。
急性膵炎に気づいたらどうする
急性膵炎は、日常しばしばみられる一般的な病気です。しかし、初期や軽症例では診断が困難なことが少なくありません。
胃などの消化管の病気と間違われることや、逆にほかの疾患を急性膵炎と誤診することもあります。
診断が遅れると、重症膵炎ではとくに生命に関わることがあるので、上腹部から左側にかけて強い腹痛や背部痛が突然起こった時には、消化器科を受診することをすすめます。
また、重症の場合は高度の専門的な治療が必要になるので、集中治療室のある総合病院への転院も考慮します。
アルコールが原因で急性膵炎になった場合は、症状が軽快して退院したあとも、節酒あるいは禁酒をしっかり行うことが重要です。
飲酒の再開によって膵炎が再発したり、慢性膵炎へ進展する危険性があります。
急性膵炎の原因として、膵臓の腫瘍(とくに膵がん)によって起こる場合がまれにあります。
アルコールや胆石などの、はっきりした原因がなく突然発症した、とくに中年以降の患者さんに対しては腫瘍(癌)の存在を念頭に置き、
急性膵炎が治ったあとに腫瘍(癌)の検査を行う必要があります。